春がもうすぐそこにきているのに、季節は意地悪。寒さは足踏みするようにのんびりとどまり、空気も乾いてのどがイガイガ。風邪などひいてはいませんか?
この季節はわたしにとって、きんかんの季節。北京の冬の思い出の中には、いつも小さなきんかんがコロコロ転がっているのです。冷たい風の中をでかけるとき、母は「きんかん、かじっていきなさい」と声をかけてくれました。会社でくしゃみをすると、同僚に「きんかん、あるけど食べる?」と言われたり。
北京では、冬になると、どこの家でもきんかんを箱ごと買うのが習慣。職場の机の引き出しには、消しゴムといっしょにきんかんが入っているの。引き出しの奥で、ときどきつぶれていたりして(笑)。なくなったら、お互いに「きんかん、ある?」 「あるよー」って。そう、それが北京の冬。 あのころから、もう何年(何十年!?)たったことでしょう。
わたしは海を越えて日本に暮らし、母になり、あのころには想像もしなかった忙しい日々を送っています。けれど、今でも冬になると必ずきんかんを買います。寒い日は、きんかんをつぶして耐熱グラスに入れて、しゅんしゅんと沸いたお湯を注ぐのです。ふんわり立ちのぼるきんかんの甘い香りをかぐと、あのころの自分がよみがえるから不思議です。「きんかん、あるよ」という、母や友人の声もいっしょに聞こえてくるようです。 でもね、実は今でも同じなんです。このまえ、わたしが咳をしたら、息子が「ママ、きんかんあるよ」って、持って来てくれました。「え!?」とびっくり。いつのまにか、わが家の子どもたちにとっても「風邪にはきんかん」が、冬の習慣になっていたんですね。 あなたのおうちにも、きんかんをどうぞ。心も体も冷えそうな季節だからこそ、ビタミンCと優しい思いやり、両方補給して元気に春を迎えましょう。
皮をむかずにそのままかじれる、もっとも小さな柑橘類。 お砂糖で煮たら、種まで食べられますよ。 おかゆに入れてもおいしいのです。 ビタミンCとカルシウムが豊富なので、ママが美しさを保つのにも最適。北京では庭に植えている家庭も多く、日常的な果物でした。でも、日本では高価でびっくり! みんなできんかんを食べましょう。そしたらもっと安くなるかな?(笑)
材料(4人分) きんかん・・・・・・・・・・12個 りんご・・・・・・・・・・・・2個 氷砂糖・・・・・・・・・・・80g 水・・・・・・・・・・・・・・・1カップ 塩・・・・・・・・・・・・・・・ひとつまみ
作り方 1 りんごは4つに切り分けて、皮をむき、芯の部分を除く。きんかんはへたをとり、横半分に切る。 2 なべに1と水、氷砂糖を入れて火にかけ、煮立ったら蓋をして、弱火で30分煮る。塩で味をととのえ、さらに5分煮る。
作り方 1 きんかん2〜3個のへたをとり、軽くつぶす。 2 ティーポットや耐熱容器に1を入れ、お湯300mLを注ぐ。 3 はちみつ小さじ1をまぜる。
1963年北京生まれ。 北京師範大学を卒業後、1990年来日。現在料理研究家として雑誌やテレビなどで大活躍。 家庭では小学生と中学生の子どもを持つ、明るくたくましいお母さんでもあります。
さらに詳しい内容を、本誌(2008年3月号)15Pでご紹介しています。ぜひご覧下さい。
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