秋といえば栗。 でも皆さんは、栗を秋に食べますか?
どんな季節でも「天津甘栗」は売られているし、皮をむいてパックした甘栗まで並んでいます。わざわざ秋に食べなくたって困りません。 栗に限らず、日本には一年中食べ物があふれていますね。デパートの地下には世界各国の料理が並び、食材は季節も国も飛び越えて手に入る。さらに、インターネットを開けば、それらを調理するレシピは無限!
なのに、みなさんはなぜときどき「今日の夕食は何にしたらいいの?」と迷うのでしょう。何でも食べられるのに、何を食べたらいいのかわからなくなるのはなぜでしょう。 食はシンプルなほど優れている、とわたしは信じています。住む土地の近くで、その季節に採れる野菜を選ぶのが一番です。 旬の素材はおいしく、安く、栄養価も高い。冬なら体を芯から温める根菜類。春なら毒出しの効果をもつ芽野菜。夏はビタミンと水分をたっぷり補給してくれる夏野菜。そして、秋。夏の疲れがたまっている秋の初めは、きのこやおいもで体調を整えます。 元気が出たら、冬に向けて脂肪やエネルギーを蓄えるのです。脂たっぷりのお肉で? いえいえ、ここでパワーを発揮するのは栄養価の高い木の実です。
秋、木々は来年の春に芽吹く新しい命への希望を、小さな木の実の中にぎゅっと凝縮します。たったこのひと粒の実が、未来の大木を作るのですから、そこに秘められたパワーがどれほどのものか想像できるでしょう? 栗、松の実、くるみ、落花生、蓮の実……中国では秋にたくさんの木の実を食べます。油分も豊富なので、秋にたっぷり食べておくと、空気が乾燥する冬でも体の内側からうるおいがにじみ出るような気がするのです。 そんな栗を鶏肉と煮てみました。骨つき肉から出ただしが栗の繊細な甘みとまじり合い、豊かな秋の味覚になりましたよ。
天津甘栗のおかげで「天津は栗の名産地」と思っている人は少なくありませんが、天津は港町。 そこから栗が運ばれることはあっても、栗の木は見かけません。 一方、わが故郷北京は、郊外に栗の産地がありました。 冬になれば、街角にはたくさんの焼き栗屋が軒を連ねます。 コートのポケットにホカホカの焼き栗を入れて街を歩く…… 幸せな記憶です。
材料(4人分) むき栗 200g 鶏手羽元 6本 鶏もも肉 1枚 ねぎ 1本 酒 1/2カップ しょうゆ 大さじ2!?2 酢 小さじ1 こしょう 少々 砂糖 小さじ1 サラダ油 大さじ1 水 2/3カップ
作り方 1 鶏もも肉は一口大に、ねぎはぶつ切りにする。 2 中華なべなどの大きめのいためなべにサラダ油と鶏手羽元と1の鶏もも肉を入れて焼く。表面の色が変わったら、砂糖を入れてとかしてからめ、しょうゆ、酢を加えて煮立たせてさらにからめる。 3 2に酒とねぎを入れ、さらに水を加え、煮立ったら弱火にし蓋をして20分煮る。 4 3にむき栗を加えてさらに20分煮る。仕上げにこしょうで香りをつける。汁が多い場合は、強火にして水分をとばす。
1963年北京生まれ。 北京師範大学を卒業後、1990年来日。現在料理研究家として雑誌やテレビなどで大活躍。 家庭では小学生と中学生の子どもを持つ、明るくたくましいお母さんでもあります。
さらに詳しい内容を、本誌(2007年10月号)15Pでご紹介しています。ぜひご覧下さい。
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